Prevention予防歯科

予防歯科とは

歯医者は、歯が痛くなったり、むし歯の治療をしたりするときだけに行くもの、と思っていませんか?もちろん、お口のトラブルに気づいたらできるだけ早く歯科を受診することが大切です。しかし、生涯を通してお口の健康を守るためには、病気を未然に防ぐ「予防」と「メインテナンス」が重要です。
歯を失う原因のほとんどはむし歯や歯周病などの病気です。つまり、これらを予防すれば歯を失うリスクを大幅に軽減できます。当院では、そのために定期的な受診をおすすめしています。

予防歯科で行うこと

  • むし歯や歯周病がないかを検査・治療
  • 歯に付いた歯石の除去
  • 歯に関する相談など
  • フッ素塗布によるむし歯予防
  • 歯みがきで不十分なところを指摘し、ブラッシング指導を行う

口腔の健康状態と全身的な
健康状態の関連について

近年口腔の疾患はさまざまな全身疾患と関連していることが報告されており、口腔の健康状態は全身的な健康状態と密接な関連があります。そのため、口腔の健康状態を維持、改善するための歯科治療は、全身的な健康状態の維持にとって欠かせないものと考えられます。予防歯科を通して全身の健康管理をし、生涯ご自分の歯でおいしく食事ができるようにしましょう。

口腔の疾患と全身疾患との関連

代表的な口腔の疾患にはむし歯と歯周病があります。特に歯周病はさまざまな全身疾患と関連していることが報告されています。なかでも歯周病と糖尿病との関連はエビデンスが高いものとして知られています。
糖尿病は糖代謝異常により高血糖状態となる代謝疾患であり、国内の患者数が多い疾患の一つです。糖尿病による免疫機能の低下から易感染性(感染しやすい状態)となることで歯周組織の炎症が進み歯周病が悪化することから、歯周病は糖尿病の合併症としても認識されています。
日本歯周病学会による「糖尿病患者に対する歯周治療ガイドライン」は、糖尿病患者に対する歯周治療を推奨しており、日本糖尿病学会が発行した「糖尿病診療ガイドライン2019」でも、2型糖尿病患者に対する歯周治療により血糖が改善する可能性があることから、糖尿病患者への歯周治療を推奨しています。糖尿病患者に対して歯周治療を行うことは、歯周病の改善だけではなく糖尿病のコントロールにも有効であると考えられます。
その他にも、歯周病は、心疾患や慢性腎臓病、呼吸器疾患、骨粗鬆症、関節リウマチ、悪性新生物(がん)、早産・低体重児出産など、さまざまな全身疾患と関連していることが報告されています。それらのなかにはエビデンスが十分ではないものもありますが、いずれにしても、歯周病を治療することにより口腔の健康を維持することは、全身の健康維持にとっても重要であるといえるでしょう。

口腔と全身の健康状態に関連するコモンリスクファクター

日本人の死亡のうち、悪性新生物、心疾患、脳血管疾患などの生活習慣病による死亡は、死亡全体の半数以上を占めています。生活習慣病は、その名の通り、食生活、運動習慣、休養、喫煙、飲酒などの日ごろの生活習慣が原因となって起こるさまざまな病気のことをいい、生活習慣病の発病や悪化に関係する好ましくない習慣は、生活習慣病のリスクファクター(危険因子)と呼ばれています。
う蝕や歯周病などの口腔疾患は歯磨きなど口腔清掃習慣の影響を強く受けますが、食生活や喫煙など全身の生活習慣病と関連の深い生活習慣の影響も受けており、生活習慣病と多くのリスクファクターを共有しています。う蝕や歯周病を予防し健康な口腔状態を保つためには、口腔を清潔に保つだけではなく、食生活の改善や禁煙なども重要な要素であり、そのことは全身の健康維持にも繋がります。

高齢者の口腔の健康と全身の健康の関連

高齢者では、う蝕や歯周病などによって多くの歯を失うことで咀嚼機能や嚥下機能といった口腔の機能が低下し、食生活に支障をきたして十分な栄養が摂れなくなると低栄養のリスクが高まります。高齢者の低栄養は、筋肉量の減少によるサルコペニアやロコモティブシンドローム(運動器症候群)につながり、要介護となるリスクを高めます。そこで、高齢者の口腔機能低下のリスクに対応するために、咀嚼機能や嚥下機能などの口腔機能の状態を評価する口腔機能検査が、歯科医療機関や後期高齢者の歯科健診で広く行われるようになっています。口腔機能の低下が疑われる場合は、適切な歯科治療や口腔機能を向上させるためのトレーニングを行うことで、口腔機能の改善を図り、全身の健康維持に努めることが望まれます。

医科歯科連携について

医科と歯科の連携は、患者の全身的な健康と福祉を向上させるために不可欠です。全身の健康状態と口腔の健康状態は密接に関連しており、それぞれが相互に影響を及ぼします。特に、高齢者や慢性疾患を抱える患者において、医科と歯科の統合的なケアは重要性を増しています。

医科歯科連携の重要性

口腔と全身の健康の関連性

近年、口腔の健康状態が全身の健康に与える影響についての研究が進んでいます。特に以下の点が注目されています

  • 歯周病と循環器疾患:歯周病は動脈硬化や心疾患と関連があるとされており、口腔内の炎症が全身の炎症反応に影響を及ぼすことが示唆されています。
  • 糖尿病と歯周病:糖尿病患者は歯周病のリスクが高く、また歯周病が糖尿病の血糖コントロールを悪化させるという双方向の関係があります。
  • 誤嚥性肺炎:高齢者の肺炎の一因として、誤嚥性肺炎が挙げられます。口腔ケアの不十分さがこれに影響を及ぼすことが知られています。
  • 妊娠と歯周病:妊娠中の歯周病は早産や低体重児出産のリスクを高める可能性が示唆されています。

患者中心の医療の実現

医科歯科連携は、患者中心の包括的な医療を実現するための重要な要素です。患者のニーズや全身状態を総合的に考慮した治療計画を立てることで、より良い治療成果を得ることが期待されます。

効果的な医科歯科連携の取り組み

チーム医療の推進

医師、歯科医師、看護師、薬剤師、栄養士など、多職種が連携するチーム医療は、包括的な患者ケアを実現するために有効です。チーム全体で患者の情報を共有し、治療計画を立てることで、最適なケアを提供できます。

連携モデルの構築

地域の医科・歯科医療機関が連携して患者のケアを行う「医科歯科連携モデル」を構築することが重要です。例えば、病院歯科と地域歯科医院が連携することで、入院中および退院後の一貫した口腔ケアが可能になります。

患者教育

患者自身が口腔と全身の健康に関する知識を持つことは、医科歯科連携を促進する上で重要です。医療機関は、患者に対して口腔ケアの重要性や全身への影響についての情報提供を行うべきです。

連携ネットワークの構築

地域の医科・歯科医療機関、行政、介護施設などが協力して、連携ネットワークを構築することが重要です。これにより、患者の全身状態と口腔状態に基づいた包括的なケアが可能となります。

おわりに

医科歯科連携は、患者様の全身の健康を支えるために欠かせない取り組みです。糖尿病や心疾患、がん治療における口腔ケアの重要性を認識し、医科との協力体制を強化することが求められます。
クレスト歯科クリニック戸越では、地域の医療機関と連携し、患者様に安心して治療を受けていただける環境を提供しています。口腔内の健康に不安がある方は、ぜひ一度ご相談ください。

WEB予約 公式LINE TEL